都井岬。

宮崎県の最南端に来ています。
断崖に囲まれた
なだらかな丘のうえ。
おおきな海からおおきな風が吹いていて
吹き飛ばされそうで足がすくみます。
この岬に暮らす野生の御崎馬は、
ちかくでみると 想像していたよりも小柄で
ずんぐりしていて可愛らしい。
つやつやのたてがみを靡かせながら
小さく草を喰む愛らしさと、
壮大な岬の風景との対比がどこか神秘的です。
人の手によって
ある程度保護・管理されているものの、
きょうも馬たちは岬にあるものだけを食べ、子を産み育て
吹きさらす潮風のなかで暮らしています。
たいせつに手入れされた岬の様子を見ると、
そこに確かな野生の線引きがあるかどうかはわからないけれど、
馬の馬らしい暮らしを
人々が心をこめて見守る場所が、
遠く離れた岬のうえに たしかにあるということを
また思い出すだろうとおもいます。
帰り際、えっちらおっちらへっぴり腰で丘を下っていると、
とおく、高く通る鳴き声がして
振り返ると
一頭が雄々しく前脚をあげてたっていました。
稜線に重なる細い影がうつくしかった。