身体の知。
育美さんが
電車を乗り継いで内野町まで来てくれたのは
今月はじめのことです。
十年ほど前の脳卒中により
左半身に麻痺がのこってからは
ヨガから離れ、
年に一度の年賀状のやり取りで
声を交わしていました。
お手紙の温度と 独特のリズムが大好きですが、
LINEってとっても便利ですね。
手紙の親密さとは違った瞬発力があり、
ポンポンっと物理的な距離が縮まって
こんなふうにお顔をみて話せることが
沁みじみとうれしいこの頃です。
春先には一緒に五泉八幡宮へ行きました。
久しぶりのプライベートレッスンは
どんなふうに、どのくらい動けるのか
わたしも育美さんも手探りながらも、
進むにつれて
「こんなふうに動きたかった!」と臆さず笑う育美さん。
それを後押しするかたちで
次々に立ち上がっていくアーサナ(ポーズ)がまぶしかった。
初めは、固まっていた左股関節も
わははと力がぬけただけで写真のようにいいバランスに。
他者を基準に出来不出来を測ること。
そうして目に見えるものに固執する社会の在り方に
つい忘れてしまっているだけで、
強さも、柔らかさも、すべては"思い出すもの"として
すでにわたしたちのなかにあるのだなと信じています。