春陽。




宴の準備
 

にいがたも春めいてきました。

日課の玄関掃除も、最近はそれほど寒くなく

晴れた日にとびらを開け放つと

羽のついた虫が

庭先でふわふわお日様を透して光っています。



先日、福岡からお客さんが来ていて

ささやかながら楽しい夕食を囲みました。


「自分で作ったものが美味しいってそれだけで幸せですよね」


ルートセッターとして活動するその人は

あわただしい日々のなかでものびやかで、

自分で自分を喜ばせることが上手なんだなといつも思います。

みんなでエプロンをつけて

せまいキッチンを順番に行ったり来たりしながら

それぞれにすきなものをつくってテーブルに並べました。

わが家の春の定番であるほたるいかのスパゲティーも

この日はたっぷり3人前です。


一人暮らしを経て

自分の好きなものくらいはそれなりにつくれるようになり、

それがおいしかった日のよろこびや

だれかと共有するうれしさ、

自分を想って作ってくれる人がいるありがたみを

本当の意味でわかるようになりました。

料理って

自分にとっても、相手にとっても

わかりやすくて優しい愛情表現だなぁと思います。

いつもきげんがいいひとは

その上機嫌がますますその人を大丈夫にしていくのだな、

そんなふうにしみじみと思いました。






なんとなくせわしい日々に、

ポストからぽろんとこぼれたお手紙をひろいあげると

仙台の大切なお友だちからでした。


封をあけた瞬間に香ばしい香りがして

なかには、ジップロックいっぱいに詰められた黒い玄米、

柔らかな和紙に

たっぷりとしたリズムで書かれたお手紙などが入っていました。

黒くなるまで丁寧に炒られた玄米を

お手紙のとおり、

20分ゆっくり煮出して飲みました。



より善く生きたいと願いながらも

自分のよわい部分と真っ直ぐに向き合い続けることに

時々気が遠くなることがあります。

ひとりで歩む道ではあるけれど、

やわらかいところで繋がれる人がいることは

涙が出そうなくらいうれしいことです。

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