途中。




寒さにひるむあさ。

外に出ると、霧がたちこめていて

新川から温泉みたいな湯気がのぼっていました。

秋はこんなに美しいのに

どこかさみしくて哀愁に満ちています。

おとなになって、冬のきびしさをおぼえたからでしょうか。


ページをめくるように移り変わる、この季節の"途中感"が好きです。

旅をしていてもそう、

こっちからそっちへ向かう"途中"がたまらなくすきなのです。

車窓からあっという間に過ぎていく景色の無常さが、美しさを際立たせるみたいです。



目を瞑ってぼーっとしていると

時々我にかえったように思い出すことがあって、

これまで沢山の選択肢があったはずなのに

いまここで黙って目をとじている不思議な巡り合わせに

みょうな可笑しみと、言いようのない感謝がわいてきます。

無常だったのは日々の暮らしそのものだったからです。